品質文化は、アモルファスな用語かもしれない

投稿者: | 2016年10月6日

医薬品業界でいう品質文化とはなにか?GMPに接していると、いずれ、そのような疑問が出ると思います。

ある時期、データインテグリティの背景情報として、企業文化や品質文化を調べる機会がありました。その時点では、厳密に言うと、医薬品業界で品質文化を言い出したFDAは、「品質文化」という用語を定義していませんでした。

「『品質文化』とは、このようなものである」とか「『品質文化』の一つの概念は、このようなものである」と述べていますが、FDAが定めた正式な定義はありませんでした。

あるFDAの職員は、「患者への高質な医薬品の提供に関連する組織および組織内の個人の集団的な考え方、信念および行動」であると述べています。しかし、これには”One Definition for ‘Culture of Quality'”という但し書きがついています。

その時に、他の業界ではどのような定義になっているのかも調べてみました。

コトバンク曰く、「品質文化とは、組織の行動規範として品質へのコミットメントが反映された文化を持つことをいう」。Dr.Syed M. Ahmed, Ph.D.曰く、「品質文化とは、品質の確立と継続的な改善を実現する組織の価値体系である」。Berings et al.曰く、「品質文化は、効果的かつ効率的な品質のケア(care for quality)を構築するために貢献する組織の文化である」

 どうも、品質文化の定義は一定していないようです。Harveyは品質保証関係のフォーラムに出席して、そこで議論されたことを「…品質文化の周辺で多くの議論はされたものの、品質文化を定義するための議論は殆どなかった…」(at the First European Forum For Quality Assurance)と言っているぐらいですから。

しかし、共通して使われている言葉があります。それは、「品質」、「組織」、それから何らかの活動(行動する、実現する、構築する)です。

最後に行き着いたのが、次の言葉でした。「品質文化は、アモルファスな用語かもしれない」。FDAの副長官Howard Sklambergは、ジェネリック医薬品の国際調和会議で、このように発言しました。私はその文章を読んで、「アモルファス」という言葉は、ぴったりだなと感じました。そこには、何の意味もないのですが、この言葉に笑みがこぼれました。…そして、私は当分(医薬品業界が定義するまで)「定義」を使わず「概念」を使おうと思いました。

これが今日の話題ですが、これで終わってしまうと申し訳ないので、その後でHoward Sklambergが話したことを書いておきます。

・「品質文化は…患者、医療従事者が…薬物療法を信頼するために非常に重要なことである」

・「中国とインドの業界および規制当局との議論〔実際に訪問して会談〕は…品質文化を強化する企業の重要性に焦点を当てた」

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です